Milk & Management

元急性期病院勤務の経営ノウハウを駆使して酪農業界に新たな風を!!//酪農後継者の軌跡ブログ

DJ report

◎哺育管理

「自分の哺育管理レベルはどのあたり?」

初生ホル♂の市場価格に注目し、市場日が違っていても子牛(哺育レベル)の比較ができる指標を作成した。

 DBCPI:(初生ホル♂市場販売価格インデックス)

 これは、実際の市場販売価格が市場平均価格と市場最高販売価格の間のどのあたりに位置するかを数値化したもの。

 DBCPI = 市場販売価格ー市場平均販売価格/最高販売価格ー市場平均販売価格

このDBCPIに、出荷時日齢の関係性を分析し、図にプロットしてみる。するとおおよそ、4つの結果に振り分けられる。

 A:DBCPIが大きく、出荷が早い。哺育管理が良好

 B:DBCPIが高いものの、出荷が遅い。トラブルもしくは増体に時間がかかる

 C:DBCPIが低く、出荷が早い。栄養摂取量が不足し増体が悪い

 D:DBCPIが低く、出荷が遅い。哺育管理が悪い

Aに当てはまる農家には、発酵乳と代用乳の混合給与している農家があり、効果的であることがうかがえた。

この分析に必要なのは、販売価格と市場データでともに、インターネットや農協から入手可能である。眠っているデータを活用して、生産性アップにつなげてもらいたい。

 

◎サイレージ

牧草の糖含量に要注意!

サイレージの品質は、①原料草が含有している栄養価をいかに低下させないで保持できるか、②貯蔵中の発行をいかに安定させることができるか、によって決まる。

 WSC:可溶性炭水化物

サイレージの発酵原理は、「乳酸発酵を促進させて、酪酸発酵を抑制する事」

乳酸発酵を促進させるためには、貯蔵中に乳酸菌を増殖させなければいけない、そのために規定量の乳酸菌添加が必要となっている。WSCは、乳酸菌の栄養源になっており、乳酸が増えると、pHが低下する。

原料草のWSC含量をサイロに詰め込む前と詰め込み後で分析をかけ、最低3年間はそれらを継続し、管理する牧草地の原料草のWSC含量が高い圃場低い圃場のマップ化することを提案する。そして、発行品質の高いサイレージを作るには、原料草のWSC含量を一つの指標にして、添加剤を選択するべきと考える。

 

◎国外の最新酪農技術

米国2800頭搾乳の牧場実績

・1日約10頭の分娩で、マニュアルに沿った分娩管理によって死産率2%以下

・子宮内に潤滑剤をポンプ注入し胎児に掛けて難産の低減をしている

・胎児が無呼吸の時には冷水を耳に入れて蘇生させる

・未経産牛の上位50%は2回まで性選別精液を使用

・同50%以下は2回までレシピエントとして受精卵移植

 

 ◎良質乳生産への取り組み

フリーストールに牛床に、牛床+火山灰を利用。その粒子サイズはパウダーと砂の中間くらいであり、無機質である火山灰は乳房炎予防の一助となっている。厳寒期は、凍結するので、冬の数か月はオガクズ+消石灰を使用する。その期間の乳房炎になりやすさから、火山灰の効果を実感。

 

◎ちびちび哺乳のススメ

ちびちび哺乳 = 1回の哺乳をゆっくりと飲ませましょう

①ちびちび飲むと消化酵素の分泌が間に合う→消化不調下痢減

②唾液を出すことで脂肪分解酵素が有効に働く

③ちびちび飲むと誤嚥が防げる→呼吸器病減

④ちびちび飲むと第一胃での発酵異常を防止→第一胃腐敗症減

⑤満腹感・満足感を感じる→クロス・サックリングの防止

 

◎先端技術酪農と蹄病管理

普及するロボット搾乳システム=生産性と省力化を両立できるかのポイント

①牛舎設計ー牛舎は正方形がベスト

 ・フィードファースト方式

 ・ミルキングファースト方式

 ・フリーゲート方式

②給餌ーおいしい餌、魅力的な餌が肝要

 ・よび餌→牛が魅力に感じるエサづくり

③乳量より乳器の選抜ー乳器より乳頭配置が重要

 ・牛の気質と乳器の均一化が進んだ牛群にすることが成功のカギ

④牛の行動学ー牛舎内は牛の私生活の場、人はよそ者なので控えめに

 ・神経質な牛がもっともロボット向きではないー世界共通

⑤自動給餌機ー給餌回数を増やし、平等に!

 ・自走給餌機で1日6回給餌する事で、DMIが増加しただけではなく、給餌に合わせて牛群が6回動くことで、ワンウェイゲートから搾乳場へ行くチャンスが増え、結果として搾乳回数が増えたとの報告あり、ロボット搾乳には必須なもの。

⑥アクティビティ(活動量)ー牛観察不足の救世主

 ・首にセンサー付きの活動計をつけ、発情及び食欲不振牛の発見

※蹄病管理

 蹄底潰瘍やDDは蹄浴槽が効果的だが、搾乳ボックスの出入り口に設置する方法は、内蹄と外蹄が開き、とくに蹄病を患っている場合には疼痛を記憶して搾乳場へいかなくなる恐れがあり、推奨できない。歩数計などのモニターをしっかりと。