Milk & Management

元急性期病院勤務の経営ノウハウを駆使して酪農業界に新たな風を!!//酪農後継者の軌跡ブログ

北海道胆振東部地震 ~糧にするこの経験~

北海道胆振東部地震」 

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平成30年北海道胆振東部地震~今後の注意点と被災地域情報~(tenki.jpサプリ 2018年09月06日) - 日本気象協会 tenki.jp

 

この経験を忘れないために、地震当日の行動を時系列にて記録します。

 

平成30年9月6日

AM3:07

スマホから地震情報のアラームで起床

AM3:08

地震発生 → テレビをつけてNHKのニュースを見る「安平町震度6強

AM3:25

自宅で停電を確認 明るくなるのを待つことに

(札幌在住の姉から物がめちゃめちゃ落ちてきて怖かったと震えた声で入電)

AM5:40

牛舎内の停電状況を確認

昨夜分の生乳が入ったバルク・タンクの冷却停止

飲水である地下水道のポンプ停止=断水(近隣農家と共同利用)

電池式のラジオを聞きつつ作業する→餌やり、徐糞(バーンクリーナーは停止)を終了

ラジオにて、「苫東厚真火発が深刻なダメージ」との放送アリ

AM7:30

近所の酪農家から、農協の発電機2基が酪農家を回っているとの情報アリ

自家発電機の準備を開始する

AM7:50

自家発電機の設置完了

電気屋への連絡とれず、父が直流で本牛舎のブレーカー配線を分解してつないだ

本牛舎の電力が復旧

AM8:00

ラジオの情報で、電力復旧まで2~3日ほどかかる可能性との情報アリ

自家発電機による搾乳を決心する

AM8:10

本牛舎の搾乳開始→36頭終了

バーンクリーナー稼働し徐糞完了

生乳を使用して哺乳を完了

断水状態は継続

AM9:30

断水を解消するべく電話で近隣農家と協議

ちょうど近隣の工事現場で使用していた発電機を1台借りることができるとの情報アリ、水道ポンプ周りを清掃し、発電機の到着待ちとなる

自家発電機は旧牛舎への接続を完了

TMRセンターから、餌をラッピングする機会が使用不可のため、ダンプでのバラ配送となる旨が連絡アリ

AM10:30

旧牛舎の搾乳開始→9頭終了

餌がバラ配送で到着

AM11:50

借用の発電機が到着、ポンプ周りに設置した

電気屋が到着し接続を依頼

ラジオにて余震が続いているため注意するよう放送アリ

PM12:30

借用発電機による電力で水道ポンプが稼働し、飲水が復旧→9時間の断水だった

牛たちはがぶ飲み

自家発電機は、バルクを冷却する電力を維持

PM13:00

農協より、「生乳工場が稼働できず、集乳不能の可能性がある」情報アリ

生乳廃棄することを覚悟した

PM15:00

電気屋に接続をしなおしてもらい、本牛舎と旧牛舎の電力同時供給が可能になる

牛舎側はいつもどおり夕方の作業開始(自宅は停電)

PM16:30

農協より、「今日の分集乳不能、明日も集乳不能、廃棄となる」と連絡アリ

バルクから1日分の生乳を廃棄処分した

搾乳しながら0タンクには溜めずそのまま廃棄処分とした

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平成30年9月7日

通常通り作業を完了させる

自宅は停電のまま

餌は、トラクター動力のラップロールにて配送された

携帯電話の電波がなくなってしまった

PM16:30

農協より、「明日から集乳できそう、時間については遅れる可能性があるが、廃棄せず冷却して溜めておくように」との連絡アリ

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平成30年9月8日

 

通常通り作業を完了させる

AM10:30

タンクローリーが到着→集乳していった(運転手に「神様・・・」と言ってしまった)

自宅は停電のまま

PM8:50

電力がすべて復旧

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平成30年9月9日

全ての配線を元通りに戻したが、自家発電機はそのまま待機状態とした

 

 

追伸

とにかく自家発電機を持っていたことが大きな混乱を生まなかった。酪農家はなんでも自分でできなきゃいけないというのが父の口癖だったように、溶接や車の修理等で使用していた発電機がここで生きる形となったのだ。そのおかげで、牛舎で米を炊くこともでき、夕食はロウソクの中での食事だったが、それでも炊き立ての米を食べれることに幸せを感じていた。電力復旧のあと、テレビ映像でみた光景は想像をはるかに超えていたもので、脳裏に浮かんだのは「これが北海道か?」ということ。いつしか北海道には大きな地震がおきないのでないかという気持ちがあったに違いない。改めて気持ちの部分での「備え」が必要だと痛感した。地震によって命を落とされた方に心からご冥福をお祈りいたします。