哺育・疾病・繁殖セミナー 日誌
哺育・疾病・繁殖セミナー 2018 に参加して
2018.3月某日
講師 株式会社 Guardian 代表 伏見康生 先生
備忘録・記録
農家の問題を解決するために、
「主観的状況と情報」(~を変えた。)
「客観的状況と情報」(牛が小さいんじゃないか。)
踏まえたうえで、3つの要因で分析する。
1、 牛そのものの栄養、状態、品種、血統 /50点
2、 環境衛生 /30点
3、 病原体のマネジメント /20点
和牛の場合には、このプロブレムが80点以上ないとうまく管理できないとしている。
(農家がETを選択しない理由がここか・・・?)
みなさんには、このような視点をもって、獣医師へコメントしてもらうと解決が早いかも。
第4の最重要要因は、4、人
一番うまくいく組織背景は、社長がコンサルの依頼者であり、実行者であること。
10%の初産子牛は肋骨骨折を起こしている。
30%の和牛子牛は重度の貧血状態で生まれてくる。
まずは最初の重点ポイントは「初乳」であるということ。
これまでの講演会は、「初乳給与後の血中濃度IgGが10m/g以上にしましょう」というのが常識的な話であったが、そもそも品種(ホル?和牛?)によってその厳しさが違うはずなのに、自宅にその話を持って帰って実践し、子牛が死んでいる農家が多い。
基礎
初乳を介してIgGを吸収して、免疫グロブリンを移行させる。これで免疫の上昇をさせる。人は母親の胎盤から免疫を受け取れるが、牛はしこの壁がしっかりしており、血液が入っていかない。生まれた子牛は免疫ゼロ。
結論
10m/gでは和牛子牛は死ぬ。
血中IgG濃度は、「30m/g」ほしい。目指してほしい。
黒毛和牛の検証結果~道立試験場のデータ~
下痢をしなかった正常な子牛のIgGは「31」
下痢子牛は「26」
死んだ子牛は「16.3」
ブリックス糖度計
初乳の分析だけではなく、生まれた子牛の血清をとってそれを計る事で、移行免疫を知ることができる。初乳はブリックスで20を超えるものを使用しほしい。
正常子牛の血清で7~11くらい。この血清の数値で8.8を超えてきたとき、IgG濃度が30になっているという認識でOK。
検証データ68頭からの結論
血中IgG濃度 10mg → 死ぬ(アメリカ人やカナダ人がよく言う数字)
血中IgG濃度 20mg → 死亡は減る
血中IgG濃度 30mg → 下痢が減ってきて良い状態
血中IgG濃度 40mg → そもそも隔離するような牛はいなくなる
じゃあどうやったら30mg以上になるんだ? → ゴールデンパターンを探そう
早さ:早ければ早いほどいい。(6時間まで焦んなくてもいい)
※和牛については。なるべく早く1/3だけでも飲ませておきたい。
量:体重の12%
質:IgG濃度が高いもの、菌量が少ないもの
初乳吸収のメカニズム
生後24時間だけは大きな分子を体に取り込むことができる。→ だから初乳
(ガットクロージャ―・・・・が起こる→細胞レベルでの取り込み口の閉鎖)
初乳は最高の薬(1番乳)
→ 凍結してとっておいて、下痢したときに500gほど与える
ゴールデンパターン (血中IgG濃度8.9を超えるために)
IgG濃度が20mg以上の初乳を使用し
生後18時間以内に
3回に分けて
体重の12%以上
を飲ませれば合格に到達する。
高品質な初乳があれば上記の飲ませ方で40mgにも到達可能
もし品質の悪い初乳もしくは量がない場合は、
生後1時間後にヘッドスタートかカーフサポートダッシュを飲ませる。
もっと上げたい・・・・
A:初乳のIgGを高めるか(餌や環境、地域性)
B:子牛の吸収を高めるか
究極の話
DFAⅢ(ニッテン)
生乳か凍結初乳を飲ませるときに、10gを口に入れてから給与する。すると、血中IgG濃度が+5は期待できる。
和牛は親付けがベスト
・1~2週間はつけておく
・腰回りのふっくら感が全然ちがってくる。
・ルーメンのサイズが大きくなる。
・親の唾液によって、ルーメン微生物が成長する。増体に必要。