Milk & Management

元急性期病院勤務の経営ノウハウを駆使して酪農業界に新たな風を!!//酪農後継者の軌跡ブログ

全酪連セミナー2018に参加して②

全酪連・酪農セミナー2018 に参加して・・・・・②

『効率的な繁殖のための移行期管理』

 

受胎率の考え

受胎率30

 1回目 100受精 → 30受胎

 2回目 70受精 → 21受胎

 3回目 49受精 → 14受胎

3回目までで、受胎牛が全体の65%に到達する。100/65

受胎率40

 1回目 100受精 → 40受胎

 2回目 60受精 → 24受胎

 3回目 36受精 → 14受胎

3回目までで、受胎牛が全体の78%に到達する。100/78

受胎率60

 1回目 100受精 → 60受胎

 2回目 40受精 → 24受胎

 3回目 16受精 → 10受胎

3回目までで、受胎牛が全体の94%に到達する。100/94

 

妊娠可能な妊娠させたい牛の内、どれだけ早く妊娠したか → 妊娠率

発情発見率 50% 受胎率50% → 妊娠率25

日々データを取って確認することが重要。VWP21日周期で、妊娠率をしっかり出していくことが経営上重要となっている。

 

オブシンクはどのように機能するか?

GnRH → 7日後PG → 3日後GnRH → AI 発情の確認が無用となる手法。

オブシンクは、受胎率に変化をもたらさないが、授精率(打率ではなく打席数が多く)が上がり、一斉の定時授精が可能で、より早く受精を開始することができる。研究結果で、絞っている牛・経産牛に対する反応はいいが、育成牛に対してはあまり反応が鈍かった。

授精率50% 受胎率50%  → 受胎率50

 

平均搾乳日数

(Average days in milk  ADIM)

繁殖の遅れ、空胎期間の長さが表れる。

この期間が長くなっている = 泌乳期後半の牛たちが多い = 平均乳量の低下

泌乳期ステージが均等になっていることが理想。

 

卵巣活動の再開

どうやっても、分娩直後は負のエネルギーバランスとなる。排卵まで卵胞をもっていくためには、ホルモンの入れ替わりが必要となる。負のエネルギーバランスが重度・長期となってしまうと、このホルモンの活動が鈍り、排卵までいかないで卵胞が消える。分娩後30日以内に発情兆候がない、または排卵がないということは、エネルギー不足ということが言える。

 

目標・基準 Benchmark

・妊娠率 20%以上

・初回授精の受胎率40%以上

・平均搾乳日数 150180

・授精率 70%以上

・分娩後120日以降不妊 10%以下

・分娩後60日以内の淘汰牛 8%以下

 

 繁殖と高泌乳期

乳量に差のある個体でも、65日までに性周期回帰する割合はほぼ変わらなかった。受精後58日目の妊娠率は、乳量の高い個体の方が高かった。すなわち、高泌乳のほうが妊娠率が高いということになった。 

初期胚の死滅という現象 → アメリカでも15%ぐらいが、初期胚のロスという形でいなくなっている。妊娠鑑定でもプラスでもいなくなる。ダブル妊娠鑑定が一般的である。

繁殖は泌乳期の初期の出来事に影響される。

 

健康的な問題があったのかないのかによって、30日での妊娠率が変わってくる。

臨床的疾病なし 66.9%  

単一臨床的疾病 56.5

複合臨床的疾病 40.8

非臨床的疾病なし 68.0

単一非臨床的疾病 63.6

複合非臨床的疾病 52.2

 

繁殖の経済的インパク

21日妊娠率が高いほど、年間1頭あたりの稼ぎが大きくなった。

 

乳牛の妊娠に影響する要因

BCSと子宮感染の最小化、高品質な卵の排卵、大きく立派な胚をつくることが重要。受精後14日当たりから、胚が着床するかどうかの時期になっってくるが、この時に胚のほうから、流産させないでというインターフェロンタウという信号を送っている。栄養の充足状態によって、いかに大きいな胚をつくることが重要になるわけで、胚が大きいほどインターフェロンタウが分泌量が多く強いことが分かった。やはり胚が大きいほど流産しにくいということ。

 

移行期 通常分娩前の3週間と分娩前の3週間

乳牛の典型的な妊娠と泌乳のサイクルは、分娩後泌乳曲線の上昇とともに体重が落ちて、乾物摂取量が追い付いてくる。後半になってそれらを回復していく。このBCSの減少が少なく、体重の変動も少なくなれば乳生産や繁殖の向上につながる。泌乳7日目の牛は、代謝エネルギー要求量に対して、摂取量72%・泌乳量59%の摂取しかできない。また代謝蛋白は、摂取量71%・泌乳量63%しかできない。

 

何が負のエネルギーバランスをもたらすのか。

こんなに乳量出ているならやせる、は間違い。

エネルギーの充足バランスは、どんなに乳量が出ていなくても、出ていても乳量には関係がない。

エネルギーの充足バランスは、固形分換算乳量とは相関しない。

エネルギーの充足バランスは、乾物摂取量にのみ強い相関をする。

乾物摂取量こそが重要

乾乳期間中の乾物摂取量の給与が最もなポイントだった。

乾乳期間中に中程度のエネルギー飼料を給与された乳牛でも、簡単に要求量より多くのエネルギーを摂取してしまう。 やはり、激太りのあとは激やせになるということ。分娩前のエネルギー制御は、分娩後の代謝をより良くした。やせた牛の方が、乾物摂取量と乳量が高かった。やせている牛たちは病気になりにくいが、体脂肪が少なく、筋肉を乳量に変えているので、蛋白飢餓という状態になっている。乾乳後から分娩に向かって、BCSが大きくなってはまずい。BCS0.75差までの間でおさえたい。

 

乾物摂取量が多く適正な飼料給与された牛

肝臓の中で、プロピオン酸として供給され糖に変わる。それらが乳糖→泌乳となる。糖が満たされているという状態のときには、肝臓の組織を削るまたは中での動きはほんのわずかしか起こらなくなる。負のエネルギーバランスすなわち、十分な乾物摂取量がない場合には、肝臓に対する糖生成のたの栄養が足りなくなる。エピネフリンが増えて、NEFA遊離脂肪酸が肝臓に増えてしまって、ケトン体が大量にでき、ケトン体をエネルギーとして使って、泌乳しようとするこれがケトーシスになります。牛の防衛反応なのです。中世脂肪が多くなり、脂肪肝になる。

 

分娩前に異なる処理を受けた乳牛と妊娠までの日数の関係

制限エネルギーと高エネルギー給与の分類では、分娩後に体重が増えていくという制御された牛ほど、早く受胎している。